会社を元気にするための事業活性化・経営・補助金活用の知恵袋

ジュエリー業界や小売業にとどまらず、中小企業の皆さんのお役立ち情報を随時配信中。補助金活用、経営体質の改善、事業活性化に繋がる新規事業展開などが主なテーマです。

2019年05月


 左斜め上からジュエリー業界を元気にする中小企業診断士 広岡徹也です。
 今日は 早稲田大学の教授で仮説思考、論点思考の著者である内田和成先生
 の講演を聴いてきた内容を書きます。
 私は内田先生の著書(仮説思考、論点思考)はコンサル会社勤務時代に読んで
 いましたが、生の講演は初めてでしたが素晴らしかったです。内田先生のパワー
 と話の面白さに引き込まれてあっという間の90分でした。
 纏めてみますと、以下の通りです。

 <講演内容>
携帯電話業界では
 2008年頃  ノキアが35%の世界シェア
 →盤石と思われていましたが、アップルのiphoneがその後出てきて
 ガラケーがスマホにスイッチして勢力図が激変しました。
 
自動車業界でも今後同様の変化が起きる可能性が高いです。
 自動車では、環境対応をテーマにした技術革新が起きていることに
 加え、ホットなテーマとしてEVもあります。
 EVが台頭して、今のガソリン車やディーゼル車に取って代わったら
 トヨタとて決して安泰・盤石とは言えない状況です。
・加えて、車の場合、持つモノ→利用するモノへというユーザーの心理的な変化
 あります。
 そうなると、自動車メーカーは売り先が個人ではなく、シェアリングサービスの
 提供先(=法人)となり、今の個人客向け販売拠点(系列のディーラー網)
 自体が不要となり、足かせとなる可能性があります。

・なので、どの業界も激動の今の時代を生き残るためには、変革・イノベーション
 を自らが巻き起こしていく必要があります。
 そのためのドライバーとなるものは以下3つ
 1)技術革新
 2)構造変化
 3)心理的変化

・3つのドライバーのうち、どのドライバーに切り込めば大きな変革を起こせるか
 を考えること大事です。

 マルセル・プルーストの名言
 「発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見る
  ことなのだ」
 ➡ビジネスで考えると、他の会社を見て闇雲に新しい事業や商品を展開しても難しい。
  今のビジネスを違う目線で見て、見つめ直して自分独自の勝ちパターンを作る
  という感じでしょうか?
  その例として挙げていたのがあのアマゾンです。
  上記2)の構造変化を自社で巻き起こして、元々は本屋だがレンタルサーバーの
  分野で世界一になっています。
  <アマゾンの着眼点>
  日中  …本などの注文少ない→アマゾンのサーバーの稼働率低い 
    夜    … 〃   注文多い  →  〃        稼働率高い

 ➡アマゾンは日中のサーバー稼働率の低さに注目し、違う目線で変革を起こして
  ビジネスを展開できないか考えたのです
  元々ある設備の遊休時間を活用してのビジネスなので、大掛かりな設備投資の
  必要もなく、レンタルサーバー専業の業者と比べて圧倒的な低価格で展開ができ、
  一気にトップシェアにのし上がりました。
 
  宝飾業界で考えますと、買取やオーダーリフォームなどのセカンダリーサービス
  展開強化は2)の構造変化と3)の心理的変化を起点とした変革と考えることが
  できます。
  ここでいう構造変化とは、
  <構造変化>
  1)高齢化が進展していくが高齢者の平均寿命が緩やかに伸びていく
  2)高齢者の人口ボリュームはむしろ相対的に増えていく
  <心理的変化>
  1)「新しいものが欲しい」から、勿体ないので「今持っているモノを有効活用
    したい」
  2)自分が身に付けなくなってきたからデザインを変えて娘や孫に想いとともに
    譲り渡したい
    今日はこのへんで。最後までお読みいただいてありがとうございました。

左斜め上からジュエリー業界を元気にする中小企業診断士 広岡徹也です。
今日は今年の秋に控える消費増税の際のキャッシュレス・消費者還元ポイント
5%施策について書きます。

1.施策の概要について
・時期
 2019年10月1日~9か月間

・目的
 1)消費税増税後の消費の冷え込みを抑制する
 2)キャッシュレス普及推進を図る
 ※経産省のご担当者に先日話を聞きましたが、今回の施策をテコにして、
 2)のキャッシュレス
の普及率を高める目的が非常に強いと感じます

・内容
キャッシュレス①改

 

※(2)の決済端末の導入補助については、今回施策の登録を受けたキャッシュレス
 業者の端末を登録認定を受けた小売店が導入する場合、国とキャッシュレス登録業者
 の補助により小売店は実質無償で導入が可能となります。

・今回施策の対象となる中小・小規模事業者


キャッシュレス④改





2.施策の全体像
キャッシュレス②改




<消費者への5%還元について>
・大原則としてクレジット会社、QR決済サービスに紐づくポイント(5%)を消費者に
 付与し、その5%分を国が補助する。
税込購買金額の5%を消費者にポイントとして付与する。
ポイント付与が原則ですが、店頭での即時割引等(値引き)はキャッシュ
 レス決済業者より国に事前に理由を申告し、承認を得られた場合に限り例外的に
 認められます。(余程のことがない限りダメと考えておいたほうが無難です)
・小売店については、あくまでも中小企業が対象でいわゆる大企業は対象外。

3.その他補足
・登録業者になる条件として、小売店から徴収する加盟店手数料が3.25%以下
 あることが必須条件になっています。
・最低限の手順として、
 1)自社で取引している決済業者が登録業者となっているかの確認
 2)自社が今回施策の対象となる小売店企業であることを決済業者経由で国に
   事前登録してもらう必要があります。

<今時点での想定される懸念点>
1)5%ポイント還元されない場合の店頭での混乱
今現在キャッシュレス業者として国から登録認定を受けている業者が約100社を
超える程度。 
ポイント還元がスタートした際に、登録を受けたキャッシュレス業者、
登録を受けていないキャッシュレス業者の2種類になります。
消費者は基本キャッシュレスなら全て5%ポイント付与と思い込んで買い物をする
ので、自社で取引している決済業者が登録業者から漏れた場合、5%ポイント付与
対象ではなくなるため、店頭決済時に混乱を招く可能性が大です。

2)自店で決済及びポイント付与は可能だが、ポイント利用ができないケースが起きうる
キャッシュレス決済手段が例えばWAONの場合、中小小売店で決済しポイント5%は
付きますが、当該中小小売店ではWAONポイントを使って買い物ができないという
ことが起き得ます。
結局、中小小売店は還元の恩恵をあまり受けず大企業に流れてしまう懸念があります。

3)FC大手での値引き
コンビニなどのFCは施策が別のようで、2%還元で、ポイント付与ではなく購買時の値引き
可能のようです。
宝飾時計の中小小売店はコンビニとは競合しませんが、競争上、不公平なのではとの声があります。
今日はこのへんで。最後までお読みいただいてありがとうございました。


左斜め上からジュエリー業界を元気にする中小企業診断士 広岡徹也です。
今日は 買取発生時にたまに出てくる支払調書制度について書きます。

1.支払調書とは?
一度の取引で金地金等の買取金額が税込200万円を超えた場合に、当該
買取店舗から税務署に提出される書類のことです。
金地金等の売却で得た利益は所得税の課税対象となります。
(いわゆる譲渡所得)
これらの申告漏れを防ぐため、取引内容を記述した「支払調書」の提出が
所得税法により義務付けられています。

2.支払調書の提出は誰が行うのか?
買い取った業者側が支払調書を作成し、税務署に提出します。 
支払調書にはお客様の住所、氏名、個人番号(マイナンバー)が必要となる
ので買取店舗側で確認させてもらう必要があります。

3.支払調書の対象となるものは何があるのか?
金地金、プラチナ地金、金貨、プラチナコインが対象です。
※ネックレスやリングなどの貴金属ジュエリー(宝飾品)や、おりん、銀地金、
パラジウム地金は対象外です。
また、個人からの売却が対象となるため、法人からの売却は対象外です。

~取引例~
<支払調書が不要な取引例>
金地金を100万円分、ジュエリーを150万円分売却した場合対象となるのは
金地金の100万円となり、200万円を超えていないので支払調書は不要です。

<支払調書が必要な取引例>
金地金を150万円分、金貨を60万円分売却した場合金地金も金貨も対象商品
のため合計金額が210万円となり、200万円を超えるので支払調書の提出が
必要です。

~譲渡所得課税について~(知識としてお客様向けに知っておいたほうが良いです)
「貴金属を売却して得た金額」から「購入金額や経費」を差し引いて更にそこから
「特別控除分=50万円」を差し引いた金額が課税対象になります
保有期間によって課税対象となる譲渡所得の算出方法は異なります。

<計算式①>
●購入後、5年以内で売却した場合(保有期間が5年以内)
売却価格 -(取得価格+売却に要した費用)- 50万円     = 短期譲渡所得

<計算式②>
●購入後、5年超で売却した場合(保有期間が5年超)
{売却価格 -(取得価格+売却に要した費用)- 50万円}×1/2 = 長期譲渡所得

長期保有のほうが課税額が1/2に減額されます。
私も見ている中では 支払調書が必要となるケースは極めて少ないですが、
該当の可能性があるお取引の場合、お客様に親切に教えてあげましょう。
喜ばれるはずです。
今日はこのへんで。最後までお読みいただいてありがとうございました。

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