会社を元気にするための事業活性化・経営・補助金活用の知恵袋

ジュエリー業界や小売業にとどまらず、中小企業の皆さんのお役立ち情報を随時配信中。補助金活用、経営体質の改善、事業活性化に繋がる新規事業展開などが主なテーマです。

カテゴリ: ジュエリー生前整理・相談

左斜め上からジュエリー業界を元気にする中小企業診断士 広岡徹也です。
今回は以前にも書いているジュエリー宝飾品の生前整理需要について 考えてみます。
(お亡くなりになる等の記載はありますが、宝飾品の生前整理 マーケットの大きさを
お伝えしたいだけで、他意はありませんのであらかじめご了承ください。)

現在の日本国内の女性の人口はおよそ6,400万人です。 そして年間お亡くなりになる
方のうち女性がおよそ80万人(将来推計値) として、8年間で区切って掛け算をすると
640万人となります。
およそですが、向こう8年間での生前整理需要が出てくる方は全体の 10%程度に
なります。
自ら気づいて元気なうちに生前整理を行う人はごく一握りとされ、大多数 の人は具合が
悪くなってから以後(遺品含む)と思われます。
ですので、宝飾品の生前整理需要を持つ、予備軍と言われる人たちへ、 的確にリーチ
してその内容とともに必要性を啓蒙することが大切です。

例えば、ローカルの宝飾小売店(顧客名簿10,000名)で考えますと、少なくとも
約10%の1,000名近くは宝飾品の生前整理ニーズを持っていると考えられます。
(この際 自店の顧客の年齢分布もチェックしてみましょう)
今回は8年先までで区切って見込母数を算出していますが、このニーズを前倒すことが
できれば、その分だけ見込母数が増えることになります。
仮に時価査定ベースで20万円を平均顧客単価とすると、

見込客数 1,000名 × 単価 20万円 =自店だけでの推定規模 2億円  
となります。単店で考えれば無視できない大きさですよね? 
自店の顧客ですので、来店を促す手段・コストは当然発生しますが、イチから
新規顧客にアプローチするよりもずっと手間もコストも低いはずです。
(ご案内のDMは内容を練って作った方が良いでしょう)
新規のお客を獲得するコストは既存客の5倍と言われています。
ならば、 既存客のなかで確実にありそうなニーズに対し、ピンポイントに
アプローチして お役に立つことは最もローリスク・ローコストで賢い選択
と思います。
今日はこのへんで。 最後までお読み頂いてありがとうございました。


左斜め上からジュエリー業界を元気にする中小企業診断士 広岡徹也です。
今日はジュエリー・宝飾品の意外な生前整理事例を書きたいと思います。通常の資産生前整理と言うと、どんなタイミングで相談が来るか、想像してもらうと70歳以上で終活を意識する年齢を迎えた・・・、大きな病気を患って回復は目が黒いうちに自分の財産を整理したい・・・などが一般的には多いと考えられます。
私が過去に実際に遭遇したケースですが、離婚をきっかけにしてジュエリー宝飾品・時計の整理処分ニーズが生まれるというものです。

前職での話ですが、発端はとある媒体に広告を出稿してまして、当然のようにジュエリーの生前整理をやっています、お気軽にご相談くださいと訴求し、それをご覧になって本社のフリーダイヤルにお客様が電話をくださいました。広告を見た中での問い合わせ・ご質問ということで当時営業であった私に電話が回ってきて、電話の応対をしました。内容としては、お客様ご自身がお仕事をされていて忙しいた、預かりなしで査定をしてほしい、広告に載っていた鑑定士の方に見てほしいということでした。著名な海外ブランドのジュエリーや時計も数点あるというので、高額案件の匂いを察知して、鑑定士の先生の予定をきっちりと抑えてアポイント日程の調整をして店舗でご予約を頂きました。電話でお客様と数回やり取りをする中で、「あなたも当然 当日来るのよね?」と言われて 行かない訳にもいかずに当日私も同席いたしますと返し、査定当日を迎えました。

そしてお客様がお見えになり、見た目40過ぎのキャリアウーマンといった感じの女性でした。接客は店長と鑑定士が応対し、私は名刺交換と挨拶をさせてもらい、お持ち込みについてはジュエリー宝飾品約40点、時計4点でラグジュアリーブランドの品物も何点かありました。査定総額はおよそ500万円、多少の金額交渉はありましたが無事にその場で即決での買取の成約となりました。その中で店長が整理したい背景を尋ねると、新しいパートナーと一緒に暮らすにあたって、前の旦那さんからもらったものなので早急に処分したいのよと・・・。その言葉を聞いたときに私は成り行きで同席したことを心から感謝しました。なるほど、そういうタイミングでのジュエリー宝飾品の生前整理ニーズもあるんだ、と目から鱗が落ちる感覚でした。今回の件を考えると、査定額で500万円ということは、前の旦那さんがつぎこんだ(購入した)金額は5,000万円程度と思われます。けっこうな都心に家1件買えますよ。但しこのようなタイプのお客様の特徴として、自分が仕事をしていて忙しい、自分のイメージしている金額であればさっさと処分して換金したいため、とにかくせっかちでプライドが物凄く高いです。接客していない私が言うのも何ですが、迅速な対応をしつつ、あなたには特別対応をしてますよとさり気なく伝えると良いと思います。
離婚率

添付画像をご覧頂くとお分かりの通り、何と3組に1組の夫婦が離婚しています。その10%がこのようなお金持ちだったとすると、離婚時にもビッグな生前整理ニーズが発生するのです。意識的にこういった案件を引っ張ってくるのは難しいですが、恒常的なサービスメニューとして資産整理の相談を行っていること、社内に専門家がいなくても専門家と提携しているのでご安心くださいとアピールしておくことは必須と言えるでしょう。逆引きの発想で、ジュエリー小売店の皆様が展開している地域において、離婚相談に強い弁護士とコネクションを作っておいて、バックマージン等も含めた対応スキームを作っておくことも手かもしれません。今日はこのへんで。最後までお読みいただいて、ありがとうございました。

左斜め上からジュエリー業界を元気にする中小企業診断士の広岡徹也です。
今回はジュエリー宝飾業界でのセカンダリービジネス展開において、いかにして富裕層のお客様を取り込むか?について考えてみたいと思います。
富裕層のお客様のジュエリー生前整理案件のご相談ですと、買取やリフォームを合わせて500万前後、うまく行きますと1,000万円程度なら軽くいくことが多いです。(勿論 数は少ないですが)
このようなお客様からのご相談をどんどん増やしていきたいのですが、傾向を知り対策を立てるとすると、富裕層のお客様の特徴として以下が挙げられます。
1.慎重(冒険しない、即断即決しない)
2.知識レベルが高い、賢い(相手の話を鵜呑みにして聞かない)
3.金銭的な余裕がある(言わずもがなですが)
4.一応の相談窓口がある(知識レベルがさらに高い親族・友人、証券会社、プライベートBKなど)
ホームページやチラシ広告等々マスで富裕層のお客様に来てくださいといくら訴えても、いきなりは来ないと思いますので、まず自社の既存顧客の情報を収集のうえ、きっちりセグメントすることをお勧めします。

手順例としては、
1)売り込みではない、お客様が喜ぶイベントを企画し、来場を促す
2)そのうえで、既存顧客に保有ジュエリー宝飾品の新サービス(保有ジュエリーのDB化)を案内
・無料で価値把握・査定(モノによっては鑑定鑑別も本来有料だが無料で行う)をお手伝いする
※ハイスペックな品物は、富裕層向けオークションに出品したときの落札想定価格も付ける
※DB登録後、必要な方、希望する方は個別に価値向上の提案を行う
3)案内の際に、説明用資料を事前に作成し情報提供する
4)納得のうえ、サービスを受けてもらい、データ登録を行う
5)各顧客の保有状況を整理する(添付画像の整理例も参考にしてください)
6)そのうえで、上位層の顧客より、個別アプローチ・提案を行う
このなかで、ポイントは特に1)と3)のところです。
1)については、富裕層のお客様は慎重であることから、宝飾品を売ることから離れて、喜んでもらえるイベントを企画し来店して頂き、お客様との距離感・関係性を深めることが最優先です。例えばですが、今女性に人気のハーバリウムの先生を呼んで美味しいいお茶を飲みながらのワークョップなどはいかがでしょうか?来れば楽しいですし、自分で作って持って帰れるとなればお客様も嬉しいのでは?と思います。
添付画像のC①の顧客のように、自社でジュエリー購入の占有率が低いが保有総数が多い方ですと、自社のファン化度合いが低いため、特に関係性を深める必要性が高いと考えてください。
3)については、知識レベルが高いお客様が多いので、お客様の知らないポイントで情報提供を行って
気づきを与えたいということです。案内用の冊子・チラシの作成にも工夫が必要ですが、相手の上を行きつつ、感情にも訴えて心を動かす必要があります。
持っているジュエリーをそのままにしておくこと=多大な損をしています!などのキャッチコピーを作ったうえで、まず価値把握をする必要性を事例ベースで説くなどのアプローチが良いと考えます。(要するに感情と理性の両面に訴えます)
それでも動かないお客様は慌てずに、定期的に顔が見えるニュースレターを手作りして、継続的にコンタクトをしていきましょう。ポテンシャルが大きいと分かった大切なお客様ですので、相手に有益な情報を提供しつつ、特別扱いをして駆け込んでくるタイミングを作り、じっくり待つのが得策です。
また、富裕層と分かったお客様には必ず生前整理をお勧めすべきです。何の事前情報もなく遺品となってしまうと譲り受けた側もどの程度の価値があるかが分からず、実際にあった例として以下のケースがあります。
1)遺族の方が、ガラクタのようなので処分=廃棄したい ※処分を断念してもらい、こちらで査定したら査定ベースで500万円でした
2)金額で査定せず個数で公平に分けようとして後で相続人間で金額差が出て大きな揉め事に発展する
富裕層顧客マトリクスジュエリーリスト
このような事態を避けるためにも、保有している当事者がジュエリー・宝飾品は資産との認識を持って、相談に足る店舗に行って正確な棚卸をすべきです。その際に自らの思い入れの有る無しも、ジュエリー1個ずつ記録しておくと、後に譲り受ける人も困らず、リフォームして形見として使うか、そうでないかのジャッジもしやすくなります。
その他、考慮すべき点として 実際に生前整理案件を成約する過程において、ジュエリー宝飾品以外の資産(時計、絵画、骨とう品など)も見てほしいとなりますので、あらかじめそちらの対応できる業者の目星を付けおくと尚良いでしょう。

在庫の3分類

左斜め上からジュエリー業界を元気にする中小企業診断士の広岡徹也です。
第1回目の記事で、ジュエリー宝飾品の眠っている在庫は60兆円ということはお伝えしました。今日はそのあたりを少し深堀りし、ジュエリー宝飾品をお持ちのお客様(以後オーナー様と記載します)の在庫について考えてみたいと思います。オーナー様のジュエリー宝飾品在庫は、どれも同じように塩漬けになって置きざらしになっていると思いきや、実際はそうではありません。
過去に蓄積したデータを元に検証しましたが、以下の通り、3つに分けることができます。    (別紙画像もご覧ください)
1)絶対に売らないもの 
  例:エンゲージリング
2)使わないが何となく持っており、一旦取り置いているもの 
  例:百貨店宝飾で買ったパライバトルマリンのリング 、遺品として親族より受け継いだもの
3)不要と判断、売却・整理処分するもの 
  例:喜平のネックレス
この3つのセグメントのうち、最もボリュームの大きいものは何でしょうか?
正解は2)で、オーナー様の在庫全体(個数ベース)の52.2%を占めます。
ちなみに、1)が11.6%、3)が36.2%です。
要はジュエリー宝飾品の場合、デザインも古いので身に着けないが、過去 買取ショップなどに持ち込んで査定してもらった金額を見て愕然(100万で買ったものが7万円と査定)として、売ることができずに何となく持っているというケースや、祖母や母から遺品としてもらったが、何が何なのか分からず取り合えず持っているケースが非常に多いのです。
ジュエリー小売店の皆様は、絶対数が最も少ない1)のエンゲージリフォームを力を入れて狙ったり、3)で総合リサイクル業者と買取価格を競って血みどろの戦いを繰り広げるのではなく、絶対数が多くオーナー様もどうすれば良いか分からない2)の需要喚起・問題解決に注力すべきと考えています。
ジュエリー宝飾品の場合、家や車などと違って保管場所を取らない、洋服、バッグ、靴などと違って経年劣化が少ない(=素材としての資産価値は残る)ため、この何となく消極的に保有するという行動が起きているのが実状です。
こういった場合、ではどのようにすれば良いのでしょうか?
例えば、高値で買い取ります! 1,000種類のリフォーム枠をご用意していますので、カタログをご覧ください。などの対応で良いのでしょうか?
答えは×です。
オーナー様は、金額的な価値について、過去査定していれば把握していますが、付いている石がそもそも何で、グレードは良いものなのかなど本質的な価値は分かっていないことが大半なため、価値把握のお手伝いをしたうえで、専門家の立場で相談に乗るのが正しい対応と考えます。
ご自分で買ったケースのほか、昔付き合っていた人からもらったとか、亡くなった祖母もしくは母から
遺品として譲り受け、何が何だか全く分かっていないということもよくあります。
あと、私自身が感じることとして、日本人は奥ゆかしいということです。オーナーの方々と話をしていても、最初はジュエリー宝飾品はあることにはあるが、昔祖母からもらったもののガラクタばかりで人に見ぜるのは恥ずかしいわという声が非常に多いことです。
実際に拝見すると、そんなことはなく平気で10万、20万するものがチラホラあったりしてこの石は〇〇産の非加熱のルビーで非常に良いものですよ、などと補足説明をして差し上げるとオーナー様は大変喜んでくださり、そのうえであれこれ相談に乗って結局 普段使い用のネックレスにリフォームするわと言って成約になります。
なので、譲り受けた方々との思い出もひっくるめたジュエリーへの「想い」は寄り添って傾聴しつつ、品物としての価値把握・情報提供はプロとして行い、最終的な出口はオーナー様と一緒になって考えてプロの意見も添えてアドバイスする、これがあるべき姿であり、サービスにおける付加価値なのではないかと考えています。

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